【特別連載】長友佑都のミラノの休日<最終回>

【特別連載】長友佑都のミラノの休日<最終回>

Posted at 2017.05.09 Page View 200 Author JESSICA-OFFICIAL

【長友選手よりご挨拶】

皆さん、こんにちは。
青々とした芝生、咲き乱れる花々、日本でもそうだと思いますが、
ここイタリアも春になって、日中は半袖で過ごすことができる日もありますね。

さて突然のお知らせですが、「長友佑都のミラノの休日」は今回をもちまして終了することになりました。
1年間ご愛読いただき、本当にありがとうございました。
JESSiCAさんとご縁をいただき、こうして皆さんにミラノの日常をお伝えすることで、伝えることの楽しさや、時には難しさも感じたりしながら、自分の考えをまとめるきっかけにもなりましたし、とても勉強になりました。
連載は終了となりますが、これからもSNSでいろいろな日常をのんびりお伝えしていきたいと思いますので、そ
ちらも引き続きよろしくお願いします。

さて、連載の中では好きなことを中心に色々とお伝えしてきたつもりでしたが、
まだまだ紹介しきれていないミラノやイタリアがたくさんあるなと、これまでの原稿を読み返して思いました。
最後は、僕の周りにいるイタリア人の男友達、つまりチームメイトやインテルのクラブの仲間ですが、
彼らが大切にしているものを、僕の独断と偏見でお伝えしたいと思います。

【イタリア人が大切にしているものとは】

僕のまわりにいるイタリア人の男たちが大切にしているものは、
まずはマンマ、お母さんですね。もちろん家族も含めてですが、その中でも特にマンマが大切。
僕自身、イタリアに住むようになってからは、家族との向き合い方も変わりましたし、母親に対しての気持ちも随分と変わった気がします。
結婚してからは家族の存在を今まで以上に強く感じるようになりました。

次にイタリア人の男たちが大事にしているもの、それはカルチョです。
カルチョとは、サッカーのことです。
自転車のロードレースなんかも人気ですが、毎年、カルチョのシーズンの終盤に1ケ月間ぐらいかけてイタリア国内を周る
「ジーロ・ディターリア」があってちゅうもくもされるけど、やっぱり一番はカルチョ。
ちなみにそのジーロ・ディターリア、今年は100回記念大会のようで、僕がこれまで住んでた中で一番盛り上がっています。
その2つに続くものとしては、カッフェと、あとはパスタの湯で加減かなと思います。
あくまで僕の個人的な意見ですけど。。。

【一番大切なのは「口に出す」こと】

でも、何よりも大切にしていることは、ポジティブなことを口に出して伝えることだと思います。
分かりやすく言うと、「褒める」ことです。
世界中どこに行っても、褒められて不快な感情を抱く人はいないと思います。
街を歩いていると通りすがりの見知らぬ人が、「ヒュ~」と口笛交じりに
「Complimenti!(コンプリメンティ!)」って相手に聞こえるぐらいの声の絶妙な大きさで言ったりします。
「Complimenti!」はイタリア語の褒め言葉の代表句みたいなもんで、
日本語に訳すと「お見事!」みたいなイメージの言葉です。

イタリア人の男ってモテ男みたいに見られて何だか羨ましいなって最初の頃は思ってましたが、
本当に上手に褒めてくれるので、感心しちゃいます。
彼らが褒めるのは、何も女性に対してだけではないんです。

【イタリア男の優しさは世界一!】

いいものや美しいものを見たら口に出して賞賛することは素晴らしい習慣だなって思いますし、
まあこの部分は僕も少なからず影響されているって思いますね。笑
もちろん、女性に対する優しさは本当に世界一だと思います。

僕の所属するサッカーリーグ「セリエA」も、サッカーの本場のヨーロッパの強豪国の一つと言われていますが、
イタリア男の女性に対する優しさは、まさに世界最高レベル。
どこか必ずいいところを見つけて褒める、その観察力には何年住んでも歯が立ちませんし、
さらりと褒めるところにはイタリア男の美学を感じます。
何年住んでも、そうゆう褒め方するんだ!!って今でも感心させられます。

でもサッカーでは、勝った時はサポーターから賞賛の声をかけてもらえますが、負けが続いたり、
ちょっとでも気持ちの入ってないプレーだと思われたら、容赦なくお叱りの言葉が浴びせられます。
勝って嬉しい気持ちを来場されたお客さんと共有することが僕ら選手にできることなので、
そういった厳しい言葉を受けた時はその悔しさをバネにして、次に向けて取り組みます。
プロ選手としてやっている以上、試合で結果を出すのが仕事なので、お客さんの反応はとっても大事です。

だからこそ、いつも支えてくれているサポーターが喜んでいる姿を見ることが嬉しいですし、
スタジアムでお客さんに褒められることが嬉しいですね。

褒めるシーンとしては、例えばレストランで美味しい料理を食べた時や、
コンサートで素晴らしい音楽を聞かせてくれた時です。
「Sei bravo! Complimenti!」って言ってみてください、きっと喜んでもらえると思います。

「セイ・ブラーヴォ!コンプリメンティ!」は、「すごいね!お見事!」という意味で、
素敵なことをした人に対して褒める時とかに使います。


【イタリアの「カッフェ・エスプレッソ」】

褒めることともう一つ、最終回に僕が書きたいことは「カッフェ」についてです。
皆さんもご存知と思いますが、イタリアはカッフェ・エスプレッソの国。
カップに少しだけしか入っていないイタリアのコーヒーは、日本ではエスプレッソと呼ばれてますよね、
ここでは、「カッフェ」と言います。

日本で言ういわゆる普通のコーヒーは、「カッフェ・アメリカーノ」と言うそうですが、
バールやレストランで注文している人は見たことがないですね。
濃くて苦いカッフェに、溶けないくらいたっぷりとお砂糖を入れて、クイッとバールで立ち飲み。

朝、目を覚ますために、食後に消化を助けるため、仕事中に気分転換するために、
色々と理由をつけては1日に何杯も飲むものらしいです。

【イタリアのカッフェは場所によって違う!】

長靴の形をしたイタリアでは場所によって料理も言葉も結構独特なところがあって、そこは縦に長い日本も同じですよね。

僕はそこがこの国の面白さのひとつだと思ってるんですが、
場所によってカッフェもけっこう違うんですよ。

日本だとコーヒーにお砂糖を入れないで飲むブラック派の方も多いと思います。
そういう友達がイタリアに来て、エスプレッソをそのまま飲んじゃったりするんですが、
必ず言うのは「苦い!」。

そりゃそうですよね、エスプレッソの正しい飲み方はたっぷりお砂糖を入れて甘苦感を楽しむもの。
一度でも飲んだことのある人なら、その苦さに驚いた思い出があると思いますが、
イタリア人だってあの苦さに耐えられる人はいないと思いますよ。

カッフェはお砂糖を入れて飲むものだって僕もはじめのうちは知らなくて、
「砂糖を入れると苦さがなくなるよ」ってチームメイトに教えてもらって、
初めて甘苦さを感じる飲み物なんだと知りました。

郷に入りては郷に従えって諺にもあるように、
僕もそれ以来、香ばしくて甘くてちょっと苦いイタリアのカッフェを飲んでます。

【カッフェの本当の醍醐味とは」】

カッフェの醍醐味は、その官能的な甘苦さにあって、
カッフェの本場ナポリの老舗バールにはよく溶けるように開発された
特注のお砂糖を用意しているところもあるそうです。

これはバールで飲むとわかるんですが、ミラノから南に行くにしたがって一杯あたりのカッフェの量が少なくなっていきます。
これはケチってるんではなく、南に行くにしたがって濃くなってるとイタリア人から教わりました。
反対に、お砂糖の量は南に行くにしたがって増えるとか。

【コーヒー粉の「銘柄」にこだわるイタリア人】

ちなみに、カッフェを焙煎販売してくれるお店は「トッレファツィオーニ」と呼ばれていて、
日本人がお茶の銘柄にこだわるように、イタリア人はコーヒー粉の銘柄にこだわります。
たった二口か三口で飲み切れる量だからこそのこだわりがあるみたいですね。

バールによってもこだわりがあるので、みんなお気に入りのバールを見つけて自然とそこに行くようになりますから、
イタリア人に「どこのバールが好き?」って聞いても、みんな違う答えが返ってきます。

【空港で感じるイタリアの香り】

日本からミラノの空港に降り立つと、カッフェの香りが鼻腔をくすぐってきます。
ああ、イタリアに戻ってきたな~って感じる瞬間です。

僕がその話をイタリア人のチームメイトにしたら、「日本の空港は醤油の香りがする」って言われました。
匂いって忘れないですし、匂いがその時の風景を思い出させてくれたりしませんか?
空港ってその国の玄関口ですもんね、やっぱり外に住んでると、匂いの違いって気づくものなのかもしれないですね。

皆さんにも、読んでいただいてイタリアの匂いを少しでも感じていただけたら嬉しいです。

【イタリアのバカンススタイル】

日本はもう少ししたら梅雨に入りますね。
カルチョのシーズンもその頃に終了するんですが、
真っ青な空が広がり、サングラスが欠かせなくなって、気温も30度を超える日々が続きます。

小学校、中学校、高校も6月初旬から夏休みに入り、新学期が始まるのは9月で、バカンスのピークは7月から8月にかけて。
バカンスを前にしてなんとなく気持ちが浮き立つ楽しい季節で、
日本人ビジネスマンの方に、ここでは真夏はなかなか仕事が進まないって聞いたことがあります。

皆さんは夏休みをどう過ごされますか?

イタリア人にとって、バカンスはとっても大切で、単なる「夏休み」じゃないみたいです。
日頃のストレスから徹底的に開放されて、「無」になることが目的とか。
イタリアのバカンスと言えば、海です。

日本は海で囲まれていますが、イタリアも三方を美しい海に囲まれています。
シチリアやサルデーニャ、カプリ島などがメジャーですが、
プーリア州やカラブリア州も穴場の海岸として人気があったり、とにかく珠玉のリゾートが国中にたくさんあるので、
今年のバカンスの予定をまだ決めてない方は、イタリア流のバカンススタイルで今年の夏休みを検討されてみてはいかがでしょう?

【ミラノより、長友選手から】

最後になりましたが、皆さんのご健康と成功をミラノより願っています。
読んでいただいて、楽しい気持ちになったり、僕の大好きなイタリアに来るきっかけになったりしてたら嬉しいです。
それでは皆さん、1年間ありがとうございました。

Arrivederci!

Yuto